2009年7月4日土曜日

戦地へ赴く者の心構え(1)現地の嫌われ者

 外国の戦場へ、出かけてゆく方法なり職業などには、いくつかある。戦場ジャーナリストだけではなく、出征兵士として、NGOなどの援助団体としてなどなど。もちろん企業戦士として、個人的な商売として、そして、旅人としてなど、それは、各人の発想で、どのやり方を採ってもいいのかもしれない。

 そして、これらのどの方法にも、共通しているのは、その戦争国の人たちから、それほど歓迎されているわけではないということである。この「歓迎されていない」という点が、観光やその他ビジネスなどで行く場合とは大きく異なる。援助目的だとしても、その援助対象組織と敵対している勢力から見れば嬉しくない行為だ。

 ジャーナリストは「自分の取材は正義であり現地の人のためになる」と勘違いしていることがあるが、ジャーナリストの動きによって、現地の人が犠牲になるケースは多い。雇ったコーディネーターやドライバーが巻き添え死するケース、インタビューに応じて身元の割れた現地人が後日、秘密警察に殺されるケース、具体的な事例を挙げる必要もないくらい頻発している。

 他人の犠牲の上に自分の「戦場突入」という願望が満たされていることを意識できないと、自然と横柄な態度になってしまう。高額機材を持って車をチャーターしてチャッチャと動いていれば、普通の態度のつもりでいても戦乱下の人々から見れば、横柄な振る舞いということになるだろう。言葉があまり通じない異国の地では、言葉が通じないがゆえに、人々は態度や振る舞いから、相手のホンネを見ようとする。

 そこで、どのように相手と心を分かち合う仲にもっていけるかがカギなのだが、「私の目的は、あなたがたの犠牲の上になりたってます」という態度や言葉を何度も出せば、おのずと道は開けやすい。その一方で、「オレ様はジャーナリスト様だぞ」と偉そうに威圧したり、実弾(現金)をバラ撒く方法で強行突破するほうが良い結果をもたらすこともある。信頼関係など築き上げられないと最初から諦めるなら、後者の方法のほうが手っ取り早いともいえる。

 このように、戦場突入の方法は、その場その場の状況で違い、臨機応変と人間力の腕試しみたいなところなのだが、基本の基本にあるのは「ジャーナリストは戦争国では、嫌われてる」ということである。それがわかっていれば、道は開けるし危険の回避もしやすい。そして、相手の嘘に騙される率も減り、自分が嫌な思いをすることも少なくできる。戦争で食っていこうとおもったら、良い人になろうとしないほうがいいとおもう。

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