2009年6月11日木曜日

警察力ランキングで最下位の栃木県警

 宝島社が発行する月刊誌『宝島』(2008年2月号)で、「全国『警察力』ランキング2008」という記事を執筆した。警察庁が集計している数字から全国の警察本部の実力をはかろうというもの。「検挙率」や「犯罪発生率」、「交通事故発生率」など、10項目でランキングを行い、それぞれ第1位47点、第2位46点、第3位45点…………第45位3点、第46位2点、第47位1点と配点し、各都道府県警察本部の合計点から総合順位を決定した。

 『宝島』では誌面が限られていたため、総合順位は第1位から第47位まで掲載できたものの、各項目はベスト10とワースト10しか掲載できなかった。ここでは全項目、第1位から第47位までを掲載する。

【1】検挙率(全体)2006年
 検挙率=犯罪検挙件数÷犯罪認知件数×100

【2】検挙率(重要犯罪)2006年
 重要犯罪=殺人、強盗、放火、強姦、略取誘拐、強制わいせつ
 前年までに認知したり、他県で認知されたりしたものも検挙するので、認知件数が少ない重要犯罪では、検挙率が100%を超えることもある。

【3】犯罪発生率(全体)2006年
 犯罪発生率=人口10万人あたりの犯罪認知件数

【4】犯罪発生率(重要犯罪)2006年

【5】交通事故発生率2006年
 交通事故発生率=人口10万人あたりの交通事故発生件数

【6】交通事故死率2006年
 交通事故死率=人口10万人あたりの交通事故死者(事故後、30日以内の死者)数

【7】リスポンスタイム2006年
 リスポンスタイム=通信指令室が110番通報を受理し、無線で指令してから、警察官が現場に到着するまでの平均時間

【8】解剖率2006年
 解剖率=変死体解剖数÷変死体取扱数×100

【9】警察職員1000人あたりの懲戒処分ポイント2006年
 警察職員=警察官+一般職員
 懲戒処分ポイント=免職4点、停職3点、減給2点、戒告1点と配点し、それぞれの処分者数をかけて、合計したもの

【10】女性警察官率2007年4月1日現在
 女性警察官率=女性警察官実数÷警察官実数×100

全国警察力ランキング2008総合順位

 総合順位で最下位は栃木県警。同県警は「検挙率(重要犯罪)」と「リスポンスタイム」でも最下位だ。「足利事件」(後注)で栃木県警の大失態が批判されているが、その能力の低さは警察庁が集計した数字からも明らかなのである。

 【足利事件】1990年5月12日、栃木県足利市で女児(4歳)が行方不明となり、翌日、遺体で発見された。1991年12月2日、栃木県警は、女児の衣服に付着していた精液とDNA型が一致したとして、元幼稚園バス運転手の菅家利和氏を殺人容疑などで逮捕する。公判で菅家氏は犯行を否認し、導入直後のDNA鑑定の不備も露呈するが、宇都宮地裁(久保真人裁判長)の無期懲役判決(1993年7月7日)が、東京高裁判決(1996年5月9日、高木俊夫裁判長)、最高裁第2小法廷決定(2000年7月17日、亀山継夫裁判長)でも支持された。菅家氏は再審請求を提起。2008年2月13日、宇都宮地裁(池本寿美子裁判長)は棄却するが、同年12月24日、東京高裁(田中康郎裁判長)は再度、DNA鑑定を行うことを決定した。2009年5月8日、東京高裁(矢村宏裁判長)は、再度のDNA鑑定の結果、女児の衣服に付着していた精液のDNA型は菅家氏のものと一致しないことを検察側と弁護側へ伝えた。同年6月4日、検察庁は菅家氏を釈放した。

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