2009年6月2日火曜日

世襲する人々


 ジャーナリストの林克明(はやし・まさあき)さんが世話人を務める「世襲政治を考える会」が『世襲議員―ゴールデン・リスト―』という単行本をデータハウスから出版した(写真)。『チェチェン 屈せざる人びと』(岩波書店)、『プーチン政権の闇』(高文研)などの著書がある林さんは、国際派のイメージが強いが、近年はトヨタ自動車における労働問題や自衛隊のシビリアンコントロールの問題にも取り組んでいる。

 本書の冒頭で、林さんは、こう書く。

 「いま、国会議員の世襲が大きな問題になっています。ところが、どこにどのような世襲議員がいるかを一冊で示す本がありません。そこで、この問題に関心をもつ出版関係者やジャーナリストが集まり『一冊で分かる世襲議員』を作ろうと思い立ってできたのが、本書です」

 衆議院議員480人(定数)、参議院議員242人(同)、合計722人のうち世襲議員が170人いるという。会派別では、自民党139人、民主党22人、公明党2人、国民新党2人、無所属5人。「麻生太郎」「小泉純一郎」「安倍晋三」「福田康夫」「鳩山邦夫」「小渕優子」と、本書は1人1ページで経歴や仕事ぶり、マスコミで取り上げられたエピソードなどを紹介していく。

 しかし、よくも悪くもネタがない国会議員が散見される。わずか500字程度の人物評が埋まらないのだ。実現したい政策があるわけでもなく、家業として政治家を引き継ぐのが世襲議員。そう再認識させられた。

 意外と知られていないが、世襲警察官も数多い。大幹部の息子が高校や大学を卒業し、警察に入るやいなや、「若様」ともてはやされたりする。最近、自衛隊でも同様の話を聞いた。

 政治家にしても公務員にしても、親が利権を持つから、子が世襲する。「世襲ジャーナリスト」がいないのは当然なのである。

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