2009年5月30日土曜日

ゆうちょ銀行社員からのメール

 一昨日、ゆうちょ銀行社員からメールが来た。主要部分を引用する。

 「先日やっと『ポチの告白』を見ました。いろんな意味で考えさせられた映画でした。映画のラストは号泣しました。タケハチと自分がリンクしたので身につまされました。サラリーマンを長くやっていると『ポチ』にならなければならない瞬間が何度もあります。自分のポチっぷりが情けなくて泣けました。奇しくも、今月郵政の職員と厚生労働省の職員が逮捕されました。事実関係はまったくわかりませんが、私腹を肥やすために行ったとは思えない犯行です。彼らもポチだったのではと思いました。郵政グループは、都合が悪くなるとはしごをはずされる会社です。会社で自分らしく生きるにはどうしたらいいのか? 本をもう一度読み返して答えを模索しているところです。映画を見てから本を読むとより深い理解が得られますね」

 障害者団体向けの郵便割引制度が企業のダイレクトメールに悪用されていた事件で、大阪地検特捜部は、5月19日に郵便事業会社の山本光男・新大阪支店長と鈴木智志・新東京支店総務主任を逮捕し、同月26日に上村勉・厚生労働省障害保健福祉部企画課係長を逮捕した。山本、鈴木の両容疑者は企業のダイレクトメールと知りながら障害者団体向けの郵便割引を許可していたという郵便法違反の疑い、上村容疑者は郵便割引制度を利用するための公文書を偽造したという虚偽公文書作成・同行使の疑いだった。

 確かに、ゆうちょ銀行社員のメールが指摘するとおり、各容疑者が個人で行える犯罪なのかという疑問や、そうすることで個人的な利益が得られるのかという疑問がわく。郵便事業会社や厚生労働省の上層部も関与する組織ぐるみの犯罪ではないのか。現在、各容疑者はトカゲのしっぽ切りをされようとしているのかもしれない。

 映画『ポチの告白』で、主人公の警察官・タケハチ(竹田八生)が組織ぐるみの犯罪の責任を背負わされ、トカゲのしっぽ切りをされようとしているとき、ジャーナリスト・草間力男から電話で内部告発をすすめられる(写真)。しかし、それをタケハチは断り、結局、「ポチ」のままトカゲのしっぽ切りをされる。

 これは、過去、筆者が取材で何回も経験してきたことだ。どうして最後まで「ポチ」から脱却することができないのか。単行本『報道されない警察とマスコミの腐敗 映画『ポチの告白』が暴いたもの』のなかで、仙波敏郎・元愛媛県警巡査部長は、「組織に忠実に生きれば、最後まで組織が守ってくれると信じているということ」と話す。

 「会社で自分らしく生きるにはどうしたらいいのか?」(ゆうちょ銀行社員のメールより)

 組織人には、トカゲのしっぽ切りをされる立場へ追い込まれる前に、ぜひとも考えてもらいたいことである。

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