2009年6月17日水曜日

裁判員裁判ではCGが証拠に

 組織ならば数人で分担する仕事も、フリーランスは1人でこなさなければならない。そのとき、パソコンは大きな戦力である。筆者は動画編集もするので、グラフィック性能が高いものを使用している。モニターも大画面だし、スピーカーも高音質だ。

 この組み合わせで『DEVIL MAY CRY 4(デビル メイ クライ 4)』(カプコン)などのCG(コンピュータグラフィックス)ゲームをプレーすると、登場する人や物、効果音のリアルさに驚く。敵に銃や剣で攻撃され、それが命中すると、思わず、「痛っ!」と叫ぶほどである。

 5月21日から「裁判員制度」(後注)が実施されている。従前、「裁判員に遺体写真を見せるのは、心理的負担が大きい」として、検察庁と大学の法医学教室がCGで代用する計画を進めていた。最近、そのサンプルが新聞やテレビで取り上げられたので、ご覧になった読者もいるだろう。CGゲームほどではないが、立体的なリアルさはある。検察庁はCGアニメで殺害シーンを“再現”することも考えているようだ。

 しかし、いくらリアルとはいえ、しょせんCGはつくりもの。とても証拠価値があるとは思えない。しかも、CG製作は高額な費用がかかるから、税金でまかなう検察側は問題なしでも、弁護側がCGで反論するのは不可能だ。著しく不公平な裁判となる。

 日本弁護士連合会刑事法制委員会の堀敏明副委員長(東京弁護士会)は、こう言う。

 「裁判員裁判では、裁判員の視覚に訴えることが効果的とされます。しかし、現状、プレゼンテーションソフト『PowerPoint(パワーポイント)』(マイクロソフト)すら使えない弁護士が多いんです。これまでと違う準備が必要になりますから、個人事務所の弁護士の手には負えません」

 東京地方裁判所で8月3日から開かれる裁判員裁判第1号の殺人事件の法廷で、早くもCGがお目見えするという。裁判員の評価が注目される。

 筆者は職業柄、遺体写真を見ることもある。気持ちのいいものではないが、事実を追求するためにはやむをえない。被告人の人生や生死までも左右する裁判員は、本物を見て判断するべきだ。

 【裁判員制度】殺人など重大な犯罪で起訴された被告人の裁判を、裁判官3人と裁判員6人で審理する制度。裁判員は有権者からくじで選ばれる。有罪か無罪かは多数決で決定されるが、裁判官1人以上が賛成しないと、有罪にはできない。裁判員は刑の重さも判断する。

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