2009年8月6日木曜日

今日、広島原爆の日。エノラゲイが語るもの


添付写真、筆者の後ろは、64年前の今日8月6日午前8時15分、広島に原子爆弾を投下した米空軍機「エノラゲイ号」の実物。米・ワシントンDCのスミソニアン博物館に保管されており、この街を訪れるたびに見に行く。銀色の機体はよく手入れされ、まるで新機のような輝き、今にも飛びたちそうな雰囲気である。この機体を、ここまで大切に扱う米国の国家としての姿勢。筆者はそこに、少なくない米国人の心情を見た思いがした。

しかし、決してそれだけではない。「エノラゲイ号」を実際に見終えた直後の人々に博物館で話を聞くと、それまで原爆投下を肯定する姿勢だった人の多くが、反対へと転じる契機となりそうだと言っていた。また、中には、「この飛行機があの日、広島上空で旋回して原爆を投下したシーンをリアルに想像させられ嘔吐感をもよおした」という人もいた。

広島や長崎に投下された原爆について考える時、被害状況の写真や記録を直視し、想像力を働かせることの重要性は言うまでもない。しかし、忘れてはならないのは、「なぜ当時の米国首脳が原爆を落としたのか」を多角的かつ冷静に分析すること。確かに、戦争の悲惨さを声高に叫ぶ平和運動も重要だろう。しかし、それだけに拘泥して思考停止すると、「人間はなぜ原爆を製造し、使用したのか」という根源的な問いを見過ごす危険性にもつながる。

日本人は原爆ドームもさることながら、もっと「エノラゲイ号」も見るべきだろう。銀色の胴体は鏡のように、見る者の顔を反射し、自分を見つめる機会とする。

1 件のコメント:

  1. 坂本さん、お久しぶりです。NYではお世話になりました。
    この写真も懐かしいです。

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