一昨日18時30分から「阿佐ヶ谷市民講座」で「報道されない警察とマスコミの腐敗 映画『ポチの告白』が暴いたもの」と題して講演した。会場は劇団「展望」のけいこ場。30人弱の受講者が集まったので、かなり手狭な感じがした。
マイクなしで講演するのは久しぶり。ときおり受講者から質問が差し挟まれるのもお互いの顔が近いから。『ポチの告白』の製作にかかわった経緯から「足利事件」(後注)をめぐる警察、検察、弁護士、裁判所、マスコミの問題点まで、2時間以上、受講者と考えた。
途中、「裁判員制度」(後注)の話も出たが、同制度のおかげで、最近、司法に対する注目が集まっているのはいいこと。早晩、「有罪率99・9%」といわれる日本のインチキ極まりない刑事裁判にもメスが入るはずだ。事実、受講者から「足利事件で警察と検察は菅家(利和)さんに謝罪した。どうして裁判所は謝罪しないのか」という指摘があった。
講演後の懇親会でも受講者の体験や関心事を聞くことができ、非常に有意義だった。単行本『報道されない警察とマスコミの腐敗 映画『ポチの告白』が暴いたもの』を1包み(15冊)持っていったが、完売し、なおかつ注文までいただいた。ありがたいことである。
【足利事件】1990年5月12日、栃木県足利市で女児(4歳)が行方不明となり、翌日、遺体で発見された。1991年12月2日、栃木県警は、女児の衣服に付着していた精液とDNA型が一致したとして、元幼稚園バス運転手の菅家利和氏を殺人容疑などで逮捕する。公判で菅家氏は犯行を否認し、導入直後のDNA鑑定の不備も露呈するが、宇都宮地裁(久保真人裁判長)の無期懲役判決(1993年7月7日)が、東京高裁判決(1996年5月9日、高木俊夫裁判長)、最高裁第2小法廷決定(2000年7月17日、亀山継夫裁判長)でも支持された。菅家氏は再審請求を提起。2008年2月13日、宇都宮地裁(池本寿美子裁判長)は棄却するが、同年12月24日、東京高裁(田中康郎裁判長)は再度、DNA鑑定を行うことを決定した。2009年5月8日、東京高裁(矢村宏裁判長)は、再度のDNA鑑定の結果、女児の衣服に付着していた精液のDNA型は菅家氏のものと一致しないことを検察側と弁護側へ伝えた。同年6月4日、検察庁は菅家氏を釈放した。
【裁判員制度】殺人など重大な犯罪で起訴された被告人の裁判を、裁判官3人と裁判員6人で審理する制度。裁判員は有権者からくじで選ばれる。有罪か無罪かは多数決で決定されるが、裁判官1人以上が賛成しないと、有罪にはできない。裁判員は刑の重さも判断する。2009年5月21日実施。
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